リデザインされた伝統文様の柄のブックカバーを使う

木版画を使った和紙の商品が並ぶ京都の竹笹堂さんには、文様がデザインされた手摺りの和紙のブックカバーがたくさんあります。

◆文様とは?
自然の造形や日常の文物をもとにして「図案化」したもので、同じ図案の反復繰り返しによって構成される柄がたくさんあります。日本では特に数多くの伝統的な文様が残されています。文様にはそれぞれの柄に名前と込められた願いがあります。

 

文庫本サイズ用のカバーです。

ブックカバーに使われている柄は、竹笹堂さんでリデザインし木版画用に再構築された竹笹堂さんのオリジナルです。ブックカバーに付けられたデザインの名前を見ると、どの文様が使われているのかがわかりました。

素敵な柄ばかりで、お気に入りの本にこのブックカバーをかけて、たくさん本棚に並べてたくなります。

今回は購入したブックカバーと、このブックカバーに使われている文様についてご紹介します。

デザイン:鶴亀七宝

吉祥文様の「鶴亀文」と「七宝文」が合わされたデザインです。

◆吉祥文様とは?
繁栄や長寿を表し縁起が良いとされる文様を「吉祥文様」と呼びます。お祝いや厄除けのお守りとして贈り物に選ばれることも多く、その種類は数十種類にも及びます。

 

文様説明
鶴亀文鶴と亀を組み合わせた「鶴亀文」。鶴は千年、亀は万年と言われるように延命長寿の願いが込められています。
七宝文七宝とは仏教用語で、七珍「金、銀、瑠璃(るり)、玻璃(はり)、硨磲(しゃこ)、珊瑚(さんご)、瑪瑙(めのう)」を図案化したものが「七宝文」です。七宝を構成する円形は、円が重なりあっていることから円満の願いが込められているそうです。

デザイン:市松(藍)

「市松文」は、古くから愛用されてきた割付文様です。

◆割付文様とは?
一個の文様を規則的に繰り返して配置した文様の構成法のことで、縦横に割ることのできるものを割付文様と呼びます。

 

文様説明
市松文2色の違う正方形を交互に並べて図案化したものです。形状から「石畳文」とも言われるそうです。江戸中期の歌舞伎俳優、佐野川市松がこの文様の袴を愛用していたことをきっかけに、「市松」と呼ばれるようになりました。連続する四角形が途切れずに続くことから繁栄や事業の拡大を意味するそうです。

デザイン:流水菊

流水と菊を合わせて図案化した文様を「菊水文」と呼びます。

文様説明
菊水文延命長寿のめでたい柄とされています。奈良時代末から平安時代に中国から伝わった重陽の節句に、菊湯に入り、菊の花びらを浮かべた酒を飲み、長寿を祈願したことに由来するそうです。

デザイン:楓路

寒い季節になって赤や黄に色づいた葉を図案化した文様を「紅葉文」と呼びます。楓を描くことが多いことから「楓文」とも呼ばれます。

石畳の上に舞い落ちる楓のデザイン「楓路」は、「紅葉文(楓文)」と「市松文(石畳文)」が合わされたデザインに見えますね。

文様説明
紅葉文赤い楓の葉は鶏の鶏冠(とさか)のように見えることから鶏冠木(かえるで)という古名があったそうで、立身出世の願いが託されることがあるようです。

※「市松文(石畳文)」については、「デザイン:市松(藍)」をご参照ください。

デザイン:葵の音

双葉葵(二葉葵)を図案化した文様を「葵文」と呼びます。

デザインの名前の「葵の音」から想像すると、葵の葉に付いているのは鈴でしょうか。とってもかわいいですね。

文様説明
葵文双葉葵(二葉葵)を図案化した文様です。双葉葵の葉はハートの形をしています。葵は茎を長く伸ばしながら光に向かって育つことから、発展を意味して縁結びや出世の願いを込められたそうです。

 

文様をリデザインして和紙に手摺りされた竹笹堂さんのブックカバーは、職人さんのお仕事のこだわりを感じる素敵な作品でした。

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